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ウラン資源 [今、考えること]

 原子核が二つに分裂し、その時に発生するエネルギーが発電に利用されているウランとプルトニウム。新たな元素として発見された時、天王星ウラナスと冥王星プルートーにちなんで名づけられたものだ。
 ウランは銀白色の金属で原子番号は92と重い。オーストラリア、カザフスタン、カナダなどの鉱山から採掘され、海水中にも含まれる。日本でも岡山県の人形峠などに鉱床がある。ウランには質量数が227から240まで14種類の兄弟がいるが、自然界ではウラン238が99.3%、ウラン235が0.7%を占める。
 このうち原子核が分裂してエネルギーを生み出すのはウラン235だ。中性子という小さな粒が235の重さを持つ原子核に飛び込むと、95前後と140前後の二つに原子核は分かれて、その時に膨大なエネルギーを発生させて中性子2~3個が飛び出していく。そのエネルギー量は、1グラムのウラン235がすべて核分裂すると約2000万キロカロリーとなり、同じ1グラムの石油や石炭が燃えた時の100万倍以上になる。この熱エネルギーを利用して水を蒸気に変え、その蒸気の力で発電機を回すのが原子力発電だ。
 原子力発電所では、核分裂が起きやすいよう、ウラン235の濃度を3%程度まで濃くした燃料を使い、燃料の周囲にある水が中性子の速度を落として原子核に当たりやすくしている。また、核分裂が次々と繰り返される連鎖反応を利用する。つまり、中性子がウラン235の原子核に当たって、その原子核が分裂して中性子が生まれ、その中性子が次の原子核に当たり・・・・・・、という具合に核分裂が連続して繰り返されるのである。その連鎖反応が一定の割合で起きる状態を維持しながら、出力をコントロールしている訳だ。
 一方、一瞬のうちに核分裂を起こさせて膨大なエネルギーを発生させるのが原子爆弾である。ウランの濃度が低いと核爆発に至らないため、原子爆弾ではウラン235をほぼ100%にまで濃縮している。ここに核分裂エネルギーを、軍事利用する「原子爆弾」と、平和利用する「原子力発電」との違いがある。
 頼もしい核分裂エネルギーだが、利用できるウラン235は自然界に0.7%しか存在しない。しかし、残る99.3%のウラン238も、中性子を当ててプルトニウム239に変化させると、核分裂が起きやすくなる。こうすれば99.3%がエネルギー資源として使えることになる。
ウランの有効利用.JPG
 石油や石炭が燃える化学反応は、必ず酸素を必要として二酸化炭素を発生させる。一方、核分裂では二酸化炭素は発生しない。エネルギー量が大きいことに加え、地球環境に影響を与えない訳だ。世界的にエネルギー資源は限られ、各国が豊かな暮らしを求めて資源を確保しようとしている。放射線や廃棄物といった課題を克服しつつ、核反応による原子力エネルギーを、人類の繁栄のために平和目的で利用したいものだ。

平成20年8月15日 日本時事評論より

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