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国権の最高機関!? [巷の露]

 わが国の憲法が、連合国司令部のわずか一週間の突貫工事で作られたものだということは前号で紹介しました。その名残の一つが、41条の「国会は、国権の最高機関」との文言です。わが国の憲法は、国民主権で、三権分立です。国会が国の権力の頂点に立ち、内閣や司法に直接命令を下すことはできませんから、この文言は憲法の構成上、矛盾しています。そのために、この文言は法的な効果のない「政治的美称説」というのが、憲法学会での通説となっています。
 連合国司令部には大日本国憲法下での行政優位を繰り返さないために、議会を優位に置こうとする議会主権的な構想がありました。マッカーサー草案で示された「国家の最高の権力機関」という文言を、憲法全体の構成から十分に議論することなく、「あちらの筋の思い」として、国会でもそのまま通してしまったわけです。
 そのために実態上は国会至上主義がまかり通っています。国会の本会議や予算委員会には、朝から晩まで総理大臣や関係閣僚が顔を並べています。総理大臣が年間百日以上も国会に縛られているのは、他の議員内閣制の国々では見られません。英国は党首討論以外には、首相は原則として、国会に出席しません。閣僚を国会に縛り付けているのは、日本だけと言っても過言ではありません。
 国会開会中に大臣が外国に出張するには、議院運営委員会の了解を得ることがルールになっています。国会を欠席して、国際会議に出張しようとすると国会軽視だなどと批判されます。そのため、重要な国際会議を欠席したり、とんぼ返りをする弾丸出張だったりします。国際社会でわが国の存在が希薄なのは、大臣がころころ変わるということもありますが、途中で退席して、帰国することも一つの原因でしょう。
 衆議院の優越が不十分なことや、閣僚を国会に縛り付けておくことが、決められない政治の一つの原因になっています。こうした悪弊を改善するためにも憲法改正が必要です。

平成25年5月17日 日本時事評論より

タグ:憲法改正
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